【キラキラの幻想】

 

       冷えた空気が身にしみる。

       あまりの寒さに総司は目を覚ました。

       「んーーーーーっずいぶんと冷えますねぇ」

       近くにたたんで重ねてあった衣を軽くはおる。

       日の高さから見てそろそろ夜明けごろだろうか。

       その時、サクっという物音を聞いた。

       軽く連打するその音は、どうやら足音らしかった。

       思わずすぐ傍にある愛用の刀を手に取る。

       総司は心の中で苦笑した。

       _______その内、物音不審症になりそうですねぇ

       すっと目を細め、勢いよく障子を開ける。

       そこには_________

       「きゃっ!!なんだ沖田さんですか。脅かさないでくださいよ」

       きがえた衣の上にもう一枚衣を羽織り、首元に襟巻きを巻いたがこちらを見上げていた。

       「すみません、さんだったんですね。どこのドロボウかと思っちゃいましたよ」

       「ひどいですねぇ」

       そういってはふわりと笑う。

       その口元に白息が舞った。

       「ところで、まだ夜明けごろですよ。ずいぶん冷えているのにどこへ行くんですか?」

       「ん〜、じゃあ、沖田さんも一緒に行きましょうよ!」

       「どこへです?」

       「私の秘密の場所!」

 

       _______________________________

 

       「さん!どこまで行くんですか?」

       総司とは屯所の裏の、林の中を進んでいた。

       この寒さのせいか、足元の草花には霜が降りている。

       「もう少しですよ!」

       は総司を振り返ると楽しそうに笑った。

       だんだんと林が開けてくる。

       林を抜ける光を見つけ、たどっていくと_________

       「ここが私の秘密の場所です!」

       寒さのために凍りついた池が広がっていた。

       光を反射してキラキラと輝くそれは、声もなく総司を感嘆させた。

       「・・・・・・・・すごいですねぇ」

       「でしょう!でも、近くで見るともっとすごいんですよ!」

       そういっては池のほとりまでかけて行くと、総司を手招きした。

       呼ばれた総司がの隣に立つ。

       指差された方に目を向けると、そこには______________

       「____!!・・・綺麗ですねぇ」

       池の中に生える水草や水花などが池と共に凍っていた。

       いろいろな色のその草花は光が当ってキラキラと輝き、七色の幻想的な世界を作り出していた。

       「冬の特別寒い日にだけ見られるんです。

        誰も知らない私だけの秘密」

       「私が知ってしまってもよかったんですか?」

       「もちろんですよ!だから今日から二人だけの秘密ですね!」

       二人はどちらからともなく微笑んだ。

 

       冬の特別寒い日。

       今まで一つだったこの池に続く足跡が

       どうやら二列になりそうです。

 

       __________________________

         あとがき

           なんとかやりました、ほのぼの!
           これは自然表現が難しかったです・・・・
           七色って虹だろ!
           とか一人突っ込みしながら書いてました;

 

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